十の休

めも
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読んだ本
前回から
「凍える遊び」(ロシェル・メジャー・クリッヒ、創元推理文庫)
「真田太平記(六)」(池波正太郎、新潮文庫)
「ガラス張りの誘拐」(歌野晶午、角川文庫)
「シャングリ・ラ(上・下)」(池上永一、角川文庫)

海外の女性が書いた女性刑事ものって多いのね。みんな男性社会の中で思い通りにならない子宮を抱えてがんばってる。最初はいちいちイラッとしてましたが(女性同士なんですが彼女たちがよくそうしているように最初は気に食わないと思っていた男性の同僚刑事に気付けば子宮が疼いている経験がないもので)そういうのが全て型どおりのことなんだなと気付いてからは、そういったタイプとして認識しやすいので応援もできるってものです。最近は新本格で無駄に猟奇的な事件を扱っているものが少ないので、こういうところで補給してます。
真田太平記は今のところ言うことなく。読みやすいんだよなあ。こうやって立て続けに色んな人が書いたものを読んでいると、自分の考えていることを語っていて感情ははっきりと出されているのにそれが鼻につかない、ということなのかもしれない。単に池波さんの語り口が好きだからなのかなあ。単調で乾いた文章で感情を伝える、のが理想です。
途中から、ああ歌野さんだったっけ、と思いながら読んでました。葉桜を読んだ時も途中まではおもしろく読んでいたんだけど(噂に聞く最後のどんでん返しが楽しみだったので)最後の最後で、べつに裏切られた気分にはならなかったけどああそういうふうにするんだふーん、とやり方に納得しただけで終わったので。感心したのじゃないよ、納得したのだよ。どんでん返しは好きだけどこういうタイプにはさほど感銘は覚えませんなあ。悪いとも思わないけど。今回もだからこういう感じ。わたしはこれを警察小説だとは言わないし、言いたくない。人物の書き方なのか知らないけど、どうも思い入れというものが持てず、従って彼らがどういう結論を出してもふーんとしか思えないっていうか。そこそこ売れるし、読むことを拒否もしないけど、好きな作家には数えないな。
そして最後。ものすごいエネルギーに充ちた話でした。上巻はゆっくりめだったのですが、下巻は六時までかけて一気読み。おもしろかったからではなくて、早く読み終わりたかったから。最後まで読むべき話だと思ったので読んだけど、読み終わって早いとこべつの本に取りかかりたかったから。なかなか難しいなあ。キャラクターの露悪的な様子がふーんべつにどうでもいい的な(サト的な)充分に癖と意識の強いキャラクターたちだったけど、好意的に捉え始めたところでひっくり返されるので最後の最後まで好きだなあこの人、と思ったキャラクターは精々モモコさんくらい。モモコさんは多分そういうキャラクターなので。他の人たちは(主人公も含めて)嫌いでも好きでもない感じ。複雑であることや単純であることをそんなに気にしなくてもいいんじゃないかなみたいな。考えすぎくなーい?みたいな。あと、なぜか生活感が感じられなかった。あんなにぎっちり描き込まれているのに結局この人がどんな人か分からないなあ、いや分かるんだけどそこに魅力も嫌悪も感じないなあ、という。多分、親と子だったり、経済と環境だったり、文明と自然だったり、地球と人間だったり、男と女だったり、神とヒトだったり、母親と父親だったり、対比して置かれがちな二つの事柄を並べてそこに意味を見出していこうという試みなのだろうけど、どうにもやり過ぎ感があるわけで。はいもうお腹いっぱい。最終的に地球型経済に移行していくという大変マクロな捉え方をしているのかもだけど、結局東京を中心に置いてあるからして、それってすごくミクロな気がするわけで、ミクロとマクロが混在していてややこしい。確かに今の社会では経済というのは大事な要素なんだろうけどないならないで割とどうにでもなるんじゃないかなって気がする。わたしが生きている間にはその社会は現実にはならないだろうけど。わたしにとって東京はたまに遊びに行く一都市に過ぎず、あんまりイメージもない。京都にはなんかあるのよって言われた方が納得しやすいんじゃないかしら。今住んでるからってわけじゃないよ。一つの価値観を与えられただけでおとなしくそれで遊んでいるような人間かしら、とも思いました。段々価値観が麻痺してくる話。癖になる要素もあるのかもだけど正直に言ってどうしてあんなに売れるんだろうとちょっと思った。好き嫌いが激しそうな話だし、あんまり女性が食いつく話じゃないよねえ。それともこういうとても男性的な(と思いますがどうかな)話を読む女性が増えているということは、それが男性と女性という対置される二つの価値観が混ざっていることを表しているのだろうか。因みに女性のお客さんが多いかどうかは知りません。なんとなく。
そういえば角川文庫、うちの店でもとても売れているみたいなんですが、わたしはほとんど持ってないんです。数が多いのでないわけじゃないけど、全体の分母を考えると不思議なくらい。そこにはどうやら二つの要素がありますね。まず本文のフォントと行間、紙質があまり合わない。どうも読みにくく感じてしまう。もう一つは、単純に趣味に合う話があまりないからみたいです。角川文庫自体に癖が強いとは思えないんだけど(大手だけあって種類は揃ってるし)これは!と思うものがあんまりない。昔、赤川次郎を読んでた時には角川ばっかりだったけどなあ。
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